色空間について

なんとなく。思いつくままに書いてみる。失礼お許し願います。

色について

色というのは一応科学的というか認知学問的に定義されている。それが絶対色空間というやつで、XYZ系とかL*a*b*系とかで表わされる。ICCプロファイルというのは、RGB各値が絶対色空間上どの値を持つかというのを表す対応表のことで、ICCプロファイルがあれば、jpgファイルなどを絶対座標系に変換できる。なぜjpgファイルなどが絶対色空間で定義されていないかといえば、それは不便だから(絶対座標系は単純なRGBではない)。

マチュアフォトグラファーは何の色空間を選択すればいいのか

adobeRGBなんて野暮なことはいわないよ。もし色に興味があるアマチュアフォトグラファーなら、その答えは明解。RAW色空間で管理すべき。むしろ後段で印刷etcが絡むプロよりも管理の自由度が高いアマチュアは、RAW色空間で管理できるソフトを使うべき。現状ではlightroomとその他ごく一部のソフトが対応している。RAW色空間といってもピンと来ないかもしれないけど、RAWファイルは結局ガンマ1(光量にbit数が比例する)のデータと考えていい。RAW現像ソフトが行っている動きは大体以下のような感じ。

  • デモザイク(古い用語だとインターポレイト)処理を行う。これは現在のCCDが1個の素子でRGBをすべて捉えることができないため。
  • RAWのICCプロファイル(隠れているけどそういうのがあるんです)に従って絶対色空間座標に展開する
  • トーンカーブなどの調整
  • 現像先(主にjpgファイル)の色空間にダウンサンプリング、ガンマ変換を行う

となる。この事からわかるようにjpgファイルにした時点でかなりの情報量が失われる。ついでに言えばCCDのガンマは1なので、デジカメは宿命的にシャドーのDRはフィルムより広いけど階調は悪く、ハイライトの階調はフィルムより良いけどDRは劣る。
そういうわけで、jpgはネガじゃなくてプリント状態。だから、色を気にする人ならRAW以外選択肢は無いと言って良い。カメラメーカがだすjpgがすきでたまらない、というなら別だけども。

RAW色空間で管理するメリット

RAW色空間で管理することができるソフトを使うメリットは、最終段で用いるデバイスの色空間に最大限マッチできるということ。例えばプリンタで印刷して楽しむのがメインの人の場合、RAW色空間からプリンタの色空間にダイレクトに変換するのが一番適切。途中にsRGB/adobeRGBなどの規格を通す必要などまったくない。ブラウザ表示が主(例:ブログ掲載など)だと、sRGBに変換して載せること。世の中には色々なハードウェアがあって、おおむねsRGBを手本に合わせてある現実を考えればそうするしかない。印刷会社にまわすなら、印刷インクの色空間が考慮されているadobeRGBが良い。ちなみに印刷インクの色再現領域はそんなに広くない上に、いびつな形をしている(CMYKという冗長な構成を取っている時点でわかります)。インクジェットプリンタの優位性は緑領域の一部で、sRGBのほうが上まわっている部分も多い。
現実にはデジカメ現像はモニタ上で行われるので、最終段デバイスより色再現の悪い/良いモニタを使っていると、色が違う、ということが起こる(ただ良い場合は最終段デバイスICCプロファイルを使ってモニタ上でシミュレートできる)。究極的な解決は、最終段デバイスと同じ色空間のモニタを使うこと。

sRGBに対する擁護

sRGBを悪くいうサイトがあまりに多いのでこの記事を書いたとも言える(?)。
sRGBはそれまで極めて適当だったディスプレイの色再現について一定の評価軸を与えた素晴しい規格。sRGBがなかったら、今もプロ用ディスプレイとアマ用で圧倒的な色再現の差があったと思われる(例:家電のテレビのように、超派手だったり地味だったり、それぞれ勝手に再現(放送にも規格はあるとおもいますが……例ということで))。色再現範囲的にも、広すぎず狭すぎず、とても妥当だと思う。

参考

これは昔に書いた記事
http://d.hatena.ne.jp/spyuge/20070118/1169132879
の焼き直し。記事にあるリンク
http://www.cambridgeincolour.com/tutorials/sRGB-AdobeRGB1998.htm
も参考になる。